ラホールの市街地は木々が少なく、道路は車が入り乱れ、そこかしこから鳴るクラクションがうるさかった。強い陽射しに晒された街はほこりっぽく、路上には排気ガスが充満していた。「この街じゃ休めないかもしれないな」そんな気配を感じて、僕は運転手にバスターミナルに行ってもらうように頼んだ。ゆっくり休息できない都市と判断してすぐに先を急いでしまうのは、バス旅行に慣れた旅人の悲しい性だった。鼻をつまみたくなるような偕えた臭いに包まれたバスターミナルだった。
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バスが無秩序に停まり、その下には積荷から捨てられたような野菜屑や袋、ひもなどが散乱して異臭を放っていた。その間を犬がえさを漁っている。おそらく浮浪者もここを根城にしているようで、汚物もそこかしこにあるような臭気だった。クエッタ行きのバスは簡単にみつかった。僕らはこのバスでラホールを一刻も早く脱出する決断をした。目の前にバスがあると、それを逃したくない気持ちが勝ってしまうのだった。