景色は一歩毎に絵のように展開

2011.07.13

規模も、敷地が六七メートルに二五メートル、四二本の柱と、いずれもコンコルド神殿を上まわっているが、一九二二年から二三年にかけ修復工事があり、現在八本の桂が再建されている。残りの柱は散らばったままで、どうせなら全部を修復したらよいものと思うが、このあたりが観光地ならではの演出ということになるのだろうか。ゲーテの紀行文を読むと、暴風雨のために一度に倒壊した柱の様子を述べているが、ゲーテかヘラクレスの神殿を訪ねたのは一七八七年四月二五日で、当時と現在では、周辺の様子も比較出来ないほど違っていることだろう。神殿の谷を歩くには季節を選ぶに限る。六月から九月にかけての夏は避けた方がよいのではないか。神殿で思いを巡らせる前に、南イタリアの暑い太陽にやられてしまうのだ。アカシヤのつぼみがふくらみ、アーモンドの花が人をやさしく包んでくれる春の季節がベストであることは、いうまでもない。ゲーテもこのあたりの風物に牧歌的な色彩を与えている何千という豊富な植物のなかを歩きながら、景色は一歩毎に絵のように展開する、と語っている。